認知症の親の介護が在宅では難しくなってきたとき、候補にあがるのがグループホームと特別養護老人ホーム(特養)です。名前は聞くものの、何がどう違うのかわからない。この記事では、その違いを入居条件・暮らしと体制・費用の仕組みの3つの視点で整理します。どちらを選ぶかの判断の目安もお伝えします。
この記事の要点
- グループホームは認知症の方専用の少人数の住まい、特養は原則要介護3以上の生活施設
- 特養には所得に応じて食費・居住費が軽減される制度があり、費用の仕組みが異なる
- 選ぶ目安は「認知症の症状」「介護の重さと医療ニーズ」「暮らし方の希望」の3つ
グループホームと特養の違いがひと目でわかる早見表
一番大きな違いは「入居できる人」と「暮らしの規模」です。グループホームは認知症の診断を受けた方が5〜9人で暮らす住まい、特養は原則要介護3以上の方が入居する介護施設です。
| 項目 | グループホーム | 特養 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 認知症対応型共同生活介護 | 介護老人福祉施設 |
| 入居対象 | 認知症の診断+原則要支援2以上 | 原則要介護3以上(要支援は不可) |
| 暮らしの単位 | 1ユニット5〜9人 | グループホームより大人数 |
| 申し込める施設 | 原則、住んでいる市区町村内 | 市区町村外の施設も申込み可能な場合あり |
| 食費・居住費の軽減 | 国の軽減制度の対象外 | 負担限度額認定の対象 |
| 入居の決まり方 | 施設との契約 | 必要性の高い方から |
「どちらが上」ではなく、役割が違う
2つの施設は優劣の関係ではありません。グループホームは認知症ケアに特化した「暮らしの場」、特養は介護の必要度が高い方を支える「生活施設」です。親の状態と暮らし方の希望によって、合う場所が変わります。以下で順に見ていきましょう。
グループホームとは?認知症の方が5〜9人で暮らす住まい
グループホームは、認知症のある方が少人数で共同生活を送る「認知症対応型共同生活介護」という介護保険サービスです。
家庭的な環境で「できること」を続ける暮らし
グループホームでは、1ユニット5〜9人の少人数で、リビングやキッチンのある家庭的な環境の中で暮らします。スタッフに支えられながら、調理や洗濯などの家事をできる範囲で続けるのが特徴です。役割を持って暮らすことが本人の自信につながるという考え方に基づいています。スタッフと一緒に近所へ散歩や買い物に出かけるなど、地域とのつながりを大切にするホームもあります。
入居条件は認知症の診断・原則要支援2以上・住民票
入居できるのは原則として、認知症の診断を受けた要支援2以上の方です。要支援1の方は利用できません。また地域密着型サービスのため、原則として施設のある市区町村に住民票のある方が対象です。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特養(正式名称:介護老人福祉施設)は、常に介護が必要な方が入居する介護保険施設です。新規の入居は原則として要介護3以上の方に限られます。
原則要介護3以上。要介護1・2には「特例入所」の仕組みも
2015年4月の介護保険法改正により、特養への新規入居は原則要介護3以上となりました。ただし要介護1・2の方にも「特例入所」の仕組みがあります。認知症で日常生活に支障がある、家族の支援が期待できないなど、やむを得ない事由があると認められた場合が対象です。判断には市区町村が関与します。
入居は申込み順ではなく、必要性の高い方から
特養の入居は先着順ではありません。各都道府県の入所指針に基づき、介護の必要性や家族の状況などを点数化し、必要性の高い方から入居が決まる仕組みです。申し込んでも入居までに時間がかかる場合があります。
違い①入居条件:認知症の診断か、介護の必要度か
グループホームは「認知症であること」が前提、特養は「介護の必要度が高いこと」が前提です。この違いが施設選びの出発点になります。
要介護1・2で認知症なら、グループホームが現実的な選択肢
要介護1・2の方は、特養には特例入所が認められない限り入居できません。一方グループホームは要支援2から入居対象です。「介護度はまだ高くないが、認知症の症状で在宅が難しい」という段階では、グループホームの方が選びやすい施設といえます。
認知症の診断がない場合はグループホームの対象外
反対に、認知症の診断がない方はグループホームには入居できません。身体の介護が中心で認知症の症状がない場合は、特養や他の施設種別が検討先になります。どちらに当てはまるか迷うときは、担当のケアマネジャーに現在の状態を踏まえて相談してみましょう。
違い②暮らしと介護・医療の体制
グループホームは家事を一緒に行う家庭的な暮らし、特養は介護職員と看護職員による介護体制が特徴です。
グループホーム:なじみの関係の中で役割を持って暮らす
少人数のため、スタッフと入居者がお互いをよく知る「なじみの関係」を築きやすい環境です。食事づくりや掃除に一緒に取り組み、散歩や外出を暮らしに取り入れるホームもあります。認知症の方にとって、環境の変化が少なく落ち着いて過ごせることは大きな利点です。
特養:重度の方を支える介護・看護の体制
特養は入浴・食事などの日常生活の支援に加え、機能訓練や療養上の世話を提供します。看護職員が配置され、重度の方への対応力があります。看取りに対応する施設もあります。
医療体制は施設ごとに違う。見学で確認を
同じ施設種別でも、協力医療機関との連携や夜間の医療対応は施設ごとに異なります。持病や医療ニーズがある場合は、パンフレットだけで判断せず、見学時に具体的に確認しましょう。
違い③費用の仕組み:軽減制度の対象かどうか
月々の費用はどちらも「介護保険の自己負担+居住費(家賃)+食費など」で構成されます。大きな違いは、特養には所得に応じて食費・居住費が軽減される国の制度があることです。
特養:負担限度額認定(補足給付)の対象
特養は介護保険施設のため、所得や資産が一定以下の方は「負担限度額認定」を受けると食費・居住費の負担が軽減されます。市区町村への申請が必要です。所得の少ない方にとって、費用を抑えやすい仕組みが用意されているのが特養の特徴です。
グループホーム:家賃・食費は施設との契約で決まる
グループホームはこの軽減制度の対象外で、家賃・食費・光熱費などは施設との契約により決まります。ただし自治体によっては、グループホーム入居者向けの独自の助成制度を設けている場合があります。お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
具体的な金額は施設・地域で大きく異なる
実際の月額は、施設の立地・居室・本人の要介護度や所得によって変わります。この記事では金額を示しませんが、検討の際は必ず各施設に月額の内訳を確認し、複数施設で比較することをおすすめします。
どちらを選ぶ?3つの判断の目安
「認知症の症状が中心か」「介護の重さと医療ニーズ」「本人らしい暮らしの希望」の3つで考えると整理しやすくなります。
認知症の症状に専門的に向き合ってほしいなら:グループホーム
もの忘れや不安からくる行動が中心で、体はまだ動く。そんな段階なら、認知症ケアに特化した少人数のグループホームが候補です。環境や関わり方しだいで、本人の穏やかさが大きく変わります。
介護度が高い・費用を抑えたいなら:特養
要介護3以上で身体介護の比重が大きい場合や、負担軽減の制度を使いたい場合は特養が候補です。ただし入居までに時間がかかる場合があるため、早めの申込みと、待機期間の過ごし方の検討が必要です。
迷ったら見学へ。玄関・外出・入居者の表情を見る
施設選びで最後にものをいうのは、現場の空気です。玄関に鍵がかかっているか、入居者は外出できているか、表情は穏やかか。同じ施設種別でも、ケアの方針によって暮らしの質は大きく変わります。候補が絞れたら、必ず見学しましょう。できれば複数の施設を見比べると、それぞれの空気の違いがはっきり見えてきます。
小金井市で認知症の親の住まいを探すなら
東京都小金井市のグループホームのがわは、認知症の方のためのホームです。行動制限を行わない方針で「その人らしい暮らし」に寄り添っています。
鍵をかけない、散歩や外出のある暮らし
グループホームのがわ(小金井市東町)は、南館・北館の2ユニット・定員18名です。
深夜帯以外は玄関を施錠せず、散歩や外出を暮らしに取り入れています。2024年5月には、グループホームのがわ弐番館(小金井市梶野町・2ユニット18名)が開設しました。弐番館は、行動制限を行わない自由な共同生活空間です。
協力医療機関による週2回の訪問診療があり、医療との連携体制も整えています。のがわは土屋グループの一員です。
小金井市にお住まいの方が対象。見学のご相談を
グループホームは地域密着型サービスのため、原則として小金井市にお住まいの方が入居対象です。「まだ入居を決めたわけではないけれど、話を聞いてみたい」という段階でも構いません。見学のご相談は、お問い合わせページからご連絡ください。
グループホームと特養の違いに関するよくある質問
Q. 認知症で要介護3です。グループホームと特養、どちらも申し込めますか?
A. はい、どちらも入居対象になり得ます。両方に申し込んで、先に決まった方に入るという進め方も可能です。暮らし方の希望と費用の仕組みを比べたうえで、優先順位を決めておくと迷いにくくなります。
Q. グループホームでは最期まで暮らせますか?
A. 施設の方針や医療連携の体制によって異なります。看取りへの対応状況と、医療ニーズが高まったときの住み替えの考え方は、見学時に確認しておきたい大切なポイントです。
Q. 入居費用はどのくらいかかりますか?
A. 施設・地域・居室のタイプ・本人の所得によって大きく異なるため、一概にはお答えできません。特養は負担限度額認定により食費・居住費が軽減される場合があります。各施設に月額の内訳を確認し、複数の施設で比較しましょう。
まとめ:違いを知れば、選ぶ基準が見えてくる
グループホームと特養の違いは、「認知症専門の少人数の住まい」か「介護の必要度が高い方の生活施設」かにあります。入居条件・費用の仕組み・暮らしの形はそれぞれ異なります。どちらが良い悪いではなく、親の状態と希望に合うかどうかが判断のポイントです。情報を集めたら、次の一歩は見学です。現場の空気を見て、家族みんなが納得できる住まいを選んでください。
参考資料
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム どんなサービスがあるの?-認知症対応型共同生活介護(グループホーム)/介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
- 厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.1141(特例入所の運用に関する通知)」
- WAM NET「介護サービスハンドブック 介護予防認知症対応型共同生活介護」
- 東京都日の出町「特定入所者介護(介護予防)サービス費」
- 高齢者複合施設のがわ 公式サイト(https://tcy-nogawa.com/)
