「東京で介護の仕事を続けたいけれど、家賃や生活費を考えると不安」。そんな介護職の方に知っておいてほしいのが、東京都の「居住支援特別手当」です。介護職員には月1万円が支給され、同じ法人での勤続が5年目までの方は1万円が加算されて月2万円になります。令和8年度も実施されている制度です。ただし、この手当は自分で申請するものではありません。勤め先が制度を使っているかどうかで、受け取れるかが決まります。この記事では、手当の金額や対象になる人の条件、支給されている職場の見分け方を、小金井市のグループホームのがわが解説します。
この記事の要点
- 介護職員は月1万円、法人勤続5年目までは加算で月2万円
- 申請するのは事業所で、職員個人は申請できない
- 求人票や給与明細の「居住支援特別手当」の記載で見分けられる
居住支援特別手当ってどんな手当?
東京都が、介護事業所を通じて介護職員に月1万円(法人勤続5年目までは月2万円)を支給するための補助制度です。持ち家か賃貸かに関係なく対象になります。
東京の住まいのコストに着目した、都独自の手当
この手当は、正式には「東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業」といいます。令和6年度に始まった東京都独自の制度です。
東京都は、介護職の給与水準が低いことと、住宅費などの生活コストが高いという東京の事情に着目しました。国が介護職の処遇について必要な見直しを行うまでの間、都が手当の財源を補助する、という位置づけです。介護の人材が東京から流出するのを食い止め、長く働き続けてもらうことが目的とされています。
普通の住宅手当とはここが違う
名前に「居住」とありますが、一般的な住宅手当とは考え方が違います。賃貸か持ち家か、実家暮らしかといった住まいの形は問いません。対象の職種として一定以上働いていれば、原則として全員が支給の対象になります。
また都は、事業所が既存の手当をこの手当に置き換えることを認めていません。必ず「居住支援特別手当」という名前の手当を新しく設けて支給するルールです。今ある手当の名前を変えるだけで、この補助を受けることはできない仕組みになっています。
いくらもらえる?金額と「勤続5年目まで」の数え方
基本は月1万円です。介護職員のうち、同じ法人での勤続が5年目までの方には、さらに月1万円が加算されて月2万円になります。
基本は月1万円、勤続5年目までは月2万円
手当の額は、月1万円が基本です。これに加えて、同じ法人で勤続1年目から5年目までの介護職員には、月1万円が上乗せされます。勤続5年目までなら月2万円、年間にすると24万円です。
加算の対象になるのは、雇用を開始した月の分から数えて60か月目の分までです。6年目に入ると加算がなくなり、月1万円になります。
「勤続」は法人ごとに数える
ここで大切なのが、勤続年数は「同一法人内」で数えるという点です。介護の仕事を長く続けている方でも、新しい法人に入職すれば、その法人での勤続1年目から数え直しになります。
そのため、介護の経験が10年以上ある方が転職した場合でも、転職先が制度を使っていれば、入職から5年間は加算の対象になります。転職を考えている経験者の方は、知っておくとよいポイントです。個別の扱いは、応募先に確認しておくと確実です。
ケアマネジャーは加算の対象外
介護支援専門員(ケアマネジャー)や、グループホームの計画作成担当者も、月1万円の基本部分は対象です。ただし、勤続5年目までの1万円の加算は対象外とされています。加算があるのは介護職員だけ、と覚えておきましょう。
自分は対象?職種・働き方・事業所の条件
介護職員や訪問介護員などとして、週20時間以上(または月80時間以上)働いていれば、パートの方も対象です。都内の介護保険サービス事業所が対象になります。
対象になる職種
対象になるのは、次の職種として配置されている方です。
- 介護職員
- 訪問介護員(ホームヘルパー)
- サービス提供責任者
- 生活相談員・支援相談員
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 計画作成担当者
事務職や調理員など、ここにない職種は都の手当の対象外です。事業所が独自に別の手当を出すことはありますが、その場合は「居住支援特別手当」とは別の名前で支給するルールになっています。
パートも対象。目安は週20時間以上
常勤(正社員など)だけでなく、パートなどの非常勤の方も対象です。条件は、所定労働時間または実際の労働時間が週20時間以上、または月80時間以上であることです。
週3日・1日7時間程度働くパートの方なら、条件を満たす可能性があります。一方で、週1〜2日の短時間勤務だと対象にならないことがあります。
対象の事業所と、障害福祉の手当との違い
対象になるのは、都内にある介護保険サービスの事業所で、21種類のサービスが挙げられています。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、訪問介護、通所介護(デイサービス)、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、居宅介護支援なども含まれます。
なお、障害福祉サービスの事業所で働く方には、別に「障害福祉サービス等職員居住支援特別手当」という都の制度があります。条件や手続きは介護分とは別なので、障害福祉の現場で働く方は、そちらの制度を確認してください。
自分で申請できる?受け取るまでの流れ
職員個人は申請できません。事業所が給与規程に手当を設けて都に補助金を申請し、毎月の給与で支給する仕組みです。
事業所が「手当をつくる→申請する→毎月払う」
手当を受け取るまでの流れは、次のとおりです。
- 事業所が給与規程(就業規則)に「居住支援特別手当」を新しく設ける
- 事業所が東京都に補助金を申請する(申請は法人ごと)
- 都の審査を経て、補助金が事業所に前払いで交付される
- 事業所が職員に、毎月の給与と一緒に手当を支給する
令和8年度の申請受付期間は、令和8年4月1日から12月28日までです。
支給するかどうかは事業所しだい
この流れからわかるとおり、手当を出すかどうかは事業所の判断です。制度があっても、勤め先が申請していなければ受け取ることはできません。
今の職場で受け取れているか気になる方は、給与明細を見てみてください。「居住支援特別手当」という項目があれば支給されています。項目が見当たらない場合は、職場に確認してみるとよいでしょう。
給与の一部として支給される
この手当は、月々の給与の一部として支払われます。都の補助金は、手当の額に加えて、その15%を事業者が負担する社会保険料に相当する分として上乗せして交付されます。手当も給与の一部として、社会保険料の計算に含まれると考えておきましょう。
知っておきたい注意点と、求人票の見方
国の見直しまでの措置なので、金額や制度が今後変わる可能性があります。求人票では手当の名前・金額・対象条件まで確認しましょう。
国の見直しが行われるまでの措置
居住支援特別手当は、「国が必要な見直しを講じるまでの間」の措置とされています。国は令和8年6月から、介護職員等処遇改善加算を拡充する臨時の報酬改定を行いました。これは都の手当とは別の、全国共通の仕組みです。
今後の国や都の動きによって、手当の金額や制度そのものが変わる可能性があります。「ずっと月2万円がもらえる」とは限らない点は、頭に入れておきましょう。
賞与に含まれるかは職場の規程による
手当を賞与(ボーナス)の計算に含めるかどうかは、職場の給与規程によって違います。年収で比べるときは、手当が月給のなかに含まれているのか、別枠なのか、賞与に反映されるのかを確認すると正確です。
求人票で確認したい4つのポイント
求人票で居住支援特別手当を確認するときは、次の4点を見ておくと安心です。
- 「居住支援特別手当」という名前で記載されているか
- 金額(月1万円か、月2万円か)
- 勤続5年目以降の金額や、いつまで支給されるか
- パートの場合、何時間以上働けば対象になるか
記載があいまいな場合は、面接で遠慮なく質問してください。職場の考え方を知るきっかけにもなります。
のがわの居住支援特別手当
グループホームのがわでは、新しく入社した介護スタッフに居住支援特別手当を月2万円支給しています(勤続5年目まで)。
グループホームの介護スタッフ(正社員)
グループホームのがわの介護スタッフ(正社員)は、居住支援特別手当を次のとおり支給しています。
- 勤続5年目まで:月20,000円
- 勤続6〜10年目:月10,000円
- 支給は勤続120か月まで
- 賞与の計算には含まれません
求人ページでは、初任者研修の方の想定年収を328万円としています。これに加えて、居住支援特別手当が年24万円(勤続5年目まで)支給される形で記載しています。東京都の補助事業にもとづく手当のため、制度の変更により金額が変わる場合があります。
グループホームでの毎日の仕事については、グループホームの仕事内容の記事で紹介しています。
訪問介護(アルムの丘ケアステーション)のパート
立川市のアルムの丘ケアステーションでも、週20時間以上勤務する訪問介護のパートの方に、居住支援特別手当を支給しています。求人ページの記載額は月20,000円です。金額は、勤続年数や制度の変更により変わる場合があります。
居住支援特別手当のよくある質問
Q. 介護の経験が長いのですが、転職しても月2万円の対象になりますか?
A. 加算の「勤続5年目まで」は同じ法人での勤続年数で数えるため、転職先が制度を利用していれば、入職から5年間は加算の対象になります。ただし、介護支援専門員と計画作成担当者は加算の対象外です。
Q. パートでも居住支援特別手当はもらえますか?
A. 所定労働時間または実際の労働時間が週20時間以上、または月80時間以上であれば、パートなどの非常勤の方も対象です。勤め先が制度を利用していることが前提になります。
Q. 自分で東京都に申請すれば受け取れますか?
A. 職員個人では申請できません。事業所が給与規程に手当を設けて東京都に補助金を申請し、毎月の給与で支給する仕組みです。勤め先が申請しているかどうかは、給与明細や職場への確認でわかります。
Q. 持ち家や実家暮らしでも対象になりますか?
A. 対象になります。一般的な住宅手当とは違い、居住の形態や持ち家かどうかに関係なく、対象の職種として一定以上働いている職員が支給の対象です。
まとめ:手当の有無は職場選びの判断材料になる
東京都の居住支援特別手当は、介護職員に月1万円、法人勤続5年目までは月2万円を上乗せする制度です。パートでも週20時間以上なら対象になり、住まいの形も問いません。ただし受け取れるかどうかは、勤め先が制度を使っているかで決まります。これから職場を選ぶ方は、求人票の手当欄をぜひ確認してみてください。
グループホームのがわでは、正社員の介護スタッフを募集しています。見学を兼ねた面接も行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
- 東京都居住支援特別手当ポータルサイト(公益財団法人東京都福祉保健財団)
- 東京都福祉局「東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業について」(令和8年2月)
- 独立行政法人福祉医療機構 WAM NET「令和8年度臨時介護報酬改定」関連記事
- 高齢者複合施設のがわ 公式サイト(https://tcy-nogawa.com/)
